No.37(2004年6月号から)

米主導の9条改憲で従属固定化ねらう

自立につながらない対米軍事協力


 2000年10月11日に米国防大学国家戦略研究所(INSS)特別報告書「米国と日本−成熟したパートナーシップに向けて」は、「米日関係はかってないほど重要である。世界第2位の経済と装備の整った有能な軍隊を持ち、米国の民主的な同盟国でもある日本は、今なお米国のアジア関与の要である。米日関係は米国の国際安全保障戦略の支柱である」と書いている。

 同提言は、日本が集団的自衛権の行使を禁じていることが同盟関係の制約になっているとし「これが解かれれば、より緊密で効果的な安全保障協力が可能になる」と指摘している。これがいわゆる「アーミテージ・ナイ報告」であり、この報告の内容はアメリカ・ブッシュ政権になって地球的規模での日米関係構築へと発展させられているのである。

 日本におけるその後の経過は、自衛隊のイラク派兵と、有事法制とその関連法の成立、さらには9条改憲のための憲法調査会の改憲作業が着々と進んでいる。

 ブッシュ政権の中枢を形成している「新アメリカの世紀のためのプロジェクト」(PNAC)は、タカ派、ユダヤ系、右派の言論人らによってつくられ「ネオ・コン」と呼ばれている。

 PNACは、旧ソ連崩壊後の世界にあって、アメリカが圧倒的な軍事力を背景に一極支配を維持・発展させ、21世紀をアメリカの世紀とすることを目指している。

 先の「アーミテージ・ナイ報告」の提起した米日同盟重視路線は、EU・ユーロの自立の中でアメリカの戦略的支柱としての日米関係へと位置づけが高まっている。

 自衛隊のイラク派兵は9条改憲に先行して強行されたのであり、そのイラク派遣自衛隊は6月末に予定されているイラクへの統治権委譲(ごまかしの間接占領)後は、国連安保理決議にと基づいて多国籍軍に移行することになる。

 5月8日に小泉首相は米ジョージア州シーアイランドでの日米首脳会談で、日本は多国籍軍に参加することを表明した。

 多国籍軍への自衛隊参加は憲法上許されないとしてきた政府自身が、その立場を転換し、9条改憲に先立って集団的自衛権に対する憲法解釈をなし崩し的に変更することとなった。

 多国籍軍となったイラク派遣自衛隊は、反米ゲリラの掃討作戦も任務として活動するのであろうか?  ブッシュ政権が日米関係を自己の世界戦略の支柱として位置づけている以上、集団的自衛権に関する改憲解釈とその後の9条改憲もさけられない。小泉首相は憲法「改正」作業について「2005年までに自民党の改憲案をまとめる」と言っている。それはイラクへの統治権委譲後は解釈改憲でしのぐということである。

 アメリカが自己の侵略戦争の手駒として自衛隊を使う方針を固めていることは、対EU関係から見て戦略決定と理解しなければならない。

 現在進んでいる改憲作業は、つまるところアメリカ主導の9条改憲と言えるのである。与野党が「改憲」「論憲」「創憲」「加憲」などと言って、このアメリカ主導の改憲に協力しているさまは、まさしく売国的翼賛体制というべきである。

 このアメリカ主導の改憲とは、長期に莫大な資金を必要とする「ミサイル防衛」(MD)、さらには米軍のトランスフォーメーション(再編・変革)に関連して、自衛隊の航空総隊司令部の米軍横田基地への移転などがセットになっており、したがって今のままでは日本の対米従属が一層深まり、長期固定化されることになるのである。

 つまり、アメリカ主導の9条改憲は「戦争の道」であるだけでなく、日本の対米従属を長期固定化する政治的陰謀といえるものである。

 日本の自立と平和をめざす我々は、こうしたアメリカ主導の改憲を絶対に支持できない。

 我々は、日本国憲法の改憲には日本が自立した後に、自立政権の下で進められるべきであると主張する。アメリカの戦争協力のための改憲には手をつけるべきでないと考える。

 アメリカの覇権に軍事的に追随・協力すれば「対等の同盟になる」と考えたり、「自立できる」と願望することは、甘い幻想であることを明らかにしなければならない。