No.37(2004年6月号から)

無責任経営者がのさばる日本社会

グローバル化が生み出した“寄生虫”


 政官財の癒着が日本を駄目にした、と言われている。

 政治家は大企業の利益に都合のいい政策をとり、予算配分や税制や公共事業で企業に莫大な利益を与える。これに対し大企業は政治家に見返りの「口利き料」「献金」を支払う、大企業・財界は官僚を“天下り”先として受け入れ官僚はさまざまな「行政指導」で大企業への優遇措置(補助金など)を与える。

 こうした政治家と大企業経営者と官僚の癒着が、まるで国家財政にたかる“寄生虫”と化しているのが日本資本主義の現状なのである。

 バブル経済の崩壊と、その後の銀行のデリバティブ(金融派生商品=投機)取引の失敗による莫大な不良債権を公的資金で穴埋するために税金60兆円もの枠が政治家と官僚によって確保された。

 銀行は、中小企業への貸し渋りによって浮かした金(預金)をバクチ(デリバティブ取引)に使い、その損失を税金で穴埋しているのである。それなのに銀行の経営者はだれ一人責任を取っていないのである。

 もっと具体的に言えば、兵庫銀行の経営破綻にさいして日本銀行は5000億円以上の特別融資を行った、その後大蔵省の指導で兵庫県や神戸市の出資で「みどり銀行」が設立され、兵庫銀行の業務を引き継ぎ、98年には「みどり銀行」も経営が行き詰まり、阪神銀行に営業権が譲渡された。日本銀行や兵庫県や神戸市の金は公的資金である。税金を大量に投入する事態を招いても、経営責任は一切追及されていないのである。

 住専の処理には6850億円の公的資金が投入された。日本長期信用銀行には7兆円以上の公的資金が投入された。しかし経営者は一切責任を取っていないのである。

 大蔵省による株価てこ入れ、いわゆる「PKO相場」も大企業と金持救済策であり政・官・財の癒着の産物であった。年金資金が株価下落をふせぐために投入され、昨年だけで国民年金資金に3兆円以上運用損を出している。これは企業の売り逃げのための値下がり株購入の結果だが、政治家も官僚も誰も責任を取っていない。

 古くは水俣病を生み出したチッソ、非加熱製剤を出荷しつづけて多くの人々をHIVに感染させて殺したミドリ十字、最近では腐った牛乳を売りつづけた雪印、死者が出ているのに欠陥車を隠し売りつづけた三菱自動車、どれも大企業経営者の犯罪を政治家や官僚が隠し続けた結果重大化したものである。

 企業の粉飾決算や脱税(裏金作り)は数え上げればきりがない。証券会社の「飛ばし」による損失隠しから、総会屋を使っての株主総会対策まで企業の違法行為ばかりである。経営者が悪い事ばかりやっているから総会屋に喰いつかれるのである。

 今や、日本資本主義の特徴である無責任経営者が急増したのはバブル経済以降だと言われている。

 株と土地を“ころがし”濡れ手に粟(あわ)のボロもうけを経験したこと、その後の対米従属からくる「マネー敗戦」(アメリカによる金融資産の略奪)と規制緩和・自由化・民営化による「弱肉強食」の経済、さらには巨額の公的資金の投入で大企業経営者は恐いものがなくなったのである。(彼ら経営者はバブル経済とその崩壊及びその後の「構造改革」がアメリカのワナだったことを知らないのであろうか?)  さらに言えば、総評の解体=連合の発足で、企業の内部から経営に対する批判と監視役を失ったことで、経営者の欲望へのブレーキが利かなくなったのである。

《無責任経営の根源はグローバル化》  日本の経営者は会社の経営に失敗しても責任を取ることがない。

 公的資金を導入した銀行のトップが自分の資産を没収され逮捕されることもない。倒産しても辞任するだけである。決算で赤字を計上しても責任は、リストラで下層労働者に転嫁するのみである。

 日本経団連の奥田会長は、最近企業献金(=買収費)を会員企業から集めて、自分達の都合のいい政策を自民党と民主党に進めさせようとしている。その中心は法人税減税と消費税大増税である。彼らは企業の年金負担を軽くすための年金の消費税化に特に力を入れている。

 奥田はかって「法人税を下げないと本社を税金のかからない国に移転する」と語ったことがある。彼ら経営者には企業の社会的責任や愛国心などは微塵もない。彼らの頭には拝金思想でいっぱいなのである。

 ゼネコンの経営者が議員の“建設族”と建設官僚を買収して大公共事業をやりまくった結果、日本の国家財政は破綻状態となった。彼らのふところは富んだが日本の国は世界有数の借金国となってしまった。

 大企業経営者の団体である日本経団連は、今や拝金思想に取り付かれた「欲ボケ老人の集団」となっている。彼らは労働者・人民に「お上にたよるな」と言って福祉を切り捨ててきたが、自分達は国家予算の“寄生虫”状態になっているのである。

 日本に無責任経営者をのさばらせる原因はどこにあるのか!それは、アメリカが属国である日本の経済発展を破綻させる狙いを持って、プラザ合意(85年)で円高ドル安とゼロ金利を押しつけ、「グローバル化」「構造改革」と称して自由化・規制緩和・民営化を要求し、その結果、日本の金融資産は奪い取られ大企業の経営者を堕落させたのである。

 日本は対米自立し、グローバル化に反対し、政官財の“寄生虫”どもの不正を摘発しなければ、経済の再建は不可能である。不正な企業経営者の全資産を没収して、刑事責任を問うシステムを確立すること、政治化の「口利き料」や「献金」を禁止し、官僚の買収費の後払いとしての「天下り」を禁止し、重刑事罰を科すこと、さらに重要なのは、飼いならされて企業の批判者としての地位を失った企業内労組(=家畜化した労組)を棄て去り、新しい労働組合を育てることである。

 これらが、日本社会の底辺にいる労働者・勤労人民にとっての真の改革なのである。

 みにくい属国では人々に愛国心など生まれるわけが無い、属国では労働者が過労死するほど働いても、それがむくわれることにはならない。一握りの「寄生虫」だけが富み栄える社会、ドルの一極支配(一人勝ち)の世界にしないために、グローバル化に反対し、対米自立をめざさねばならないのである。日本民族の偉大さを世界に示す時がきているのである。