No.36(2004年5月号から)

避けられない日本国債急落の危機

崩壊間近の国債安全神話


 かつて日本には“地価は下がらない”という“土地神話”があった。その神話もバブル崩壊で泡と消えたのである。

 今、おじいちゃん、おばあちゃん達が郵便局の窓口で“国が潰れないかぎり安全”とばかりに国債購入を進められて実際に国債を買わされている。

 国債の安全神話は、はたして本当だろうか調べた。

 2004年度末の日本の国債発行残高は、普通国債だけで約483兆円である。この額は国の税収の実に12年分に相当するといわれている。

 しかも今年度の一般会計予算の歳入82兆119億円うち税収は41兆7470億円で、残りが「借金」(国債発行でまかなっている)である。

 要するに、日本という国は収入の2倍の消費をつづけ、しかもこの借金は今後さらに増え続けることが確実なのである。さらに深刻なのは、今年度(04年度)は84兆4500億円の借換え債(償還期限のきた国債を返済できないので新たな国債を発行して手当てすること)を発行しなければならないことである。

 つまり今年度は新規国債と借換え債をあわせると121兆円もの国債を発行することになるのである。実に1年間の税収の2.9倍もの国債を発行しなければならないのである。

 これは借金で生活している人が借金を借金で返済するために“サラ金地獄”に陥ったことと同様の状態なのである。例えば今後1990年度後半に景気対策として大量発行した10年物国債が相次いで償還を迎える結果、この借換え債は2008年には134兆4000億円にもなるというのである。

 いったいこの大量の国債は誰が買っているのかというと、銀行が111兆円(03年9月時点)、郵便貯金、簡易保険が135兆7000億円買っている。生命保険も大量に買っている。こうした国債の引き受け手はすでに限界に達している状態で、これ以上国債を買うことが不可能となっている。

 そこでカネを持っている個人(老人)に国債を売り始めたわけである。国債の売り手が言うように本当に「国債は安全」なのであろうか。応えは否である。なぜなら、小泉政権の郵政公社の民営化を目指した動きは、事実上の銀行や米金融資本の資金略奪を本質としており、郵貯・簡保は国債を買うどころか手持ちの国債を大量に売る可能性が強いのである。

 しかも政府発表によれば、日本の景気は回復しているらしい。景気の上昇は一般的に企業の資金需要を高めるので、銀行も今までのように国債を引き受けられなくなる。

 こうして超低金利の国債が市場に溢れれば、誰も国債を引き受ける者がなくなり、したがって国債の流通価格は下落することになる。借換え債の発行も難しくなる。売るために国債の利子を上げれば、それは一層の“サラ金地獄”なのである。

 はたして小泉のいう民営化と景気回復は両立するだろうか?  財政が破綻し、公共事業がやれなくなり、地方交付税も10兆円削減すれば景気は悪化する。今以上に国債を発行するのか、誰が国債を買うのか、国債の引き受け手がなくなってきたので個人に売るしかない。しかし金融ビッグバン(自由化)で金持ちは資金を海外で運用している(その多くが米国債で運用)。そこで郵便貯金をしている老人に買わせるしかない。

 しかし、そのために貯金の解約が続出すれば、郵便貯金で買っている国債を売らなければならなくなる。

 つまり日本の「国債中毒」ともいうべき経済は近々大破綻のときを迎える可能性が強いのである。

 少なくとも国債の価格が急落するのは確実で、そうなると国債を買っている人や銀行は、すぐに売りに出る。国債はさらに暴落することになり、長期金利は上昇する。その結果新規の国債発行が難しくなることは容易に想像できるのである。

 戦時中でもないのに国家予算の半分近くが国債というのは異常で、どう考えても長く続くわけがないのである。郵便局や、銀行の窓口で老人にささやかれている「国債は安全」というウソにだまされてはいけないと訴えたい。

 重要なことは、日本は世界一の金持ちなのに、なぜ国の財政が借金漬けなのか?ということである。

 かつて1400兆円もあった日本の個人金融資産は、今では600兆円しかないといわれている。その多くが金融自由化でアメリカに流出し、米国債などの公債の購入に「投資」されたからである。つまり日本の個人金融資産がアメリカの借金の穴埋めに使われたため、日本の国債依存型公共事業中心の経済の限界点が近づいたといえるのである。

 日本は自立しなければ、いくら貿易でドルを稼いでも、それは国民の福祉には使われない。トヨタやソニーなどの日本の輸出大手企業は合計で約100兆円もの資金を現地でアメリカ国債に運用しているのである。

 日本の大企業が内外で稼いだカネは、彼らへの税優遇策によって、国家への税収にはならないため、大企業はボロ儲けしているのに日本の国家財政は、相変わらず借金漬けなのである。

 国債の際限のない大量発行による大破綻が迫っているのである。