No.34(2004年3月号から)

急速に進む米軍と自衛隊の一体化

米の戦争支援の為の有事法制関連法案


 政府は2月24日国民保護法制整備本部(本部長・福田官房長官)を開き、昨年成立した武力攻撃事態対処法などを補完する有事法制関連6法案と3条約の概要を発表し、3月9日閣議決定した。

 それによると物品・役務の提供で米軍の行動を円滑化する「米軍行動円滑化法案」、米軍との物品・役務の相互提供の手続きを規定した「自衛隊法改正案」、自衛隊が日米の敵国への武器などの海上輸送阻止のため臨検を可能にする「外国軍用品等海上輸送規制法案」、米軍や自衛隊に優先利用を可能とする「交通・通信利用法案」、国民の戦争協力を強制する「国民保護法案」、さらには捕虜取り扱いと国際人道法違反処罰を定めた法案である。

 2月27日には川口外相とベーカー駐日米大使との間で日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定協定が署名された。これによって有事関連法に定める「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」に米軍に水や食料などに加え弾薬を提供できるようになる。

 重要なことはこの「武力攻撃事態」にはアメリカが海外でおこなう戦争に協力する自衛隊への攻撃を「わが国」に対する攻撃と見なすこと、相手側が米軍に協力する日本に攻撃の意思を表明すれば「武力攻撃予測事態」となり得ることを政府が認めていることである。

 政府はこの有事法制関連6法案を「国民保護法案」を前面に出すことでワンセットで国会を通そうと策している。しかしこの6法案の中心的狙いは、全世界的範囲で行動する米軍と自衛隊の一体化を推進し、自衛隊をアメリカ覇権主義の支援部隊とすることである。

 3月1日には、防衛庁が自衛隊に国際貢献部隊を2006年度にも創設する方針を発表している。それによるとこの専門部隊は防衛庁長官直轄部隊とし、国際貢献・ミサイル防衛・対テロの3部隊を置き、合計5000人以上を想定している。

 今年中に9年ぶりに全面改訂する「防衛計画の大綱」に専門部隊の設置を明記するとしている。

 自衛隊の、米軍の侵略戦争支援のための参戦体制作りが着々と進んでいるのである。

 とりわけ無視できないのは「外国軍用品等海上輸送規制法案」で武器などを敵国に運んでいる疑いがある船を検査し、積荷を没収する「臨検」の方法を定め、臨検に応じなければ公海上で第三国の民間船舶に対して「危害射撃」も認めていることである。

 拉致や核開発で対立している北朝鮮や、中国からの独立を狙う台湾に直接関連する法案であり、世界でアメリカに次いで巨大な海軍力を持つ自衛隊を有事での海上封鎖に動員したいアメリカの意図が背後に存在していることは明白である。

 2月24日には与党の自民・公明両党と野党の民主党は、緊急事態全般への対応措置を定めた「緊急事態基本法案」を検討する協議機関の設置で合意している。

 小泉首相は「民主党の賛成を得て成立した有事法制ですからね、今後の法案についても協議するのはよいことだ」と語り、民主党の菅代表は「話し合いに応じるのは当然だ」と協調している。

 小泉が戦争法整備にあたって民主党との協力を重視しているのは、公明党との間で“戦争法”をめぐって対立を抱えているからである。

 民主党は公明党を右傾化し、自公の連立を維持することに利用されていることに気付かねばならない。

 拉致や“不審船”やミサイルで日本を脅かしている北朝鮮の敵対的外交姿勢の存在(それはアメリカの北朝鮮敵視と日本のそれへの追随の結果である)が、米日反動派の戦争法整備に“好機”を与えている。

 与党自民党と野党民主党の間に改憲や安全保障で基本的違いがない以上、米軍と自衛隊の一体となった戦争体制構築の法案は成立を約束されているとみなければならない。

 アメリカは超大国とはいえイラク戦争で力の限界を知ったので、従属的同盟国を自己の覇権主義的戦争に動員しようとしているのである。古来より戦争は国力の消耗を招くものであるので従属国に分担させようとしているのである。

 日本がアメリカの戦争を支援することで国力の疲弊をまぬがれるには、対米自立で一国平和主義を貫くほかないことを知らねばならないのである。