No.33(2004年2月号から)

のさばるハゲタカ外資のあくどい手口

新生銀行株再上場で巨額利益



新生銀行(旧日本長期信用銀行は1月29日、株式再上場時(2月19日)に株式売却の価格の目安となる条件を1株450〜525円とすると発表した。

4年前に旧長銀が破綻して新生銀行として米リップルウッドに売却されたのであるが、金融庁はこのとき債務超過穴埋めとして3兆2000億円を贈与し、不良債権など資産買い取りのための2兆9811億円などを含め計約7兆円以上の公的資金を注ぎ込んだのである。この時外資が使った投資額は長銀ののれん代としてわずか10億円、第三者割当増資1200億円の合計1210億円である。

その後の新生銀行は、悪名高き貸し剥がし、貸し渋りを行い、多くの企業を破綻させ、資金を回収して莫大な利益を本国に送金したのである。この時倒産させられた企業は百貨店のそごう、ファーストクレジット、第一ホテル、信販のライフ、ビューホテル等である。

新生銀行にとって笑いが止まらないことが2つあった。その1つが瑕疵担保条項であり、2つ目は日米租税条約の「改正」である。

瑕疵担保条項とは新生銀行が旧長銀から引き継いだ債権のうち3年以内に2割以上劣化した債権を預金保険機構で買い取るという契約で、新生銀行はこの条項を最大限に活用し、前3月期までに8500億円もの債権を預金保険機構に買い取らせた。

瑕疵担保条項が世の批判を浴びたとき、「外資にボロもうけさせても税金によって回収できるからよいではないか」と言われた。

ところが昨年(2003年)末に日米租税条約が「改正」され「一方の国にある(株式)50%超の子会社に対する課税は、親会社本国の政府に帰属する」との条項が入れられ、これによって新生銀行株売却益に対する課税権は、日本にいなくなり、しかもリップルウッドは非課税のオランダの投資組合に出資する形をとっているので税金を払う必要はない。「盗人に追銭」とはこのことである。

「外資の対日投資拡大が日本経済のためになる」とアメリカ政府も日本政府も言ってきたのであるが、新生銀行の例が示しているのは、米ハゲタカの一方的な略奪以外なにものでもない。

米リップルウッドは、今回の株上場で旧長銀買収の投下資本1210億円の数倍の価値を手にすることになる。

預金者保護の名で投入した公的資金約7兆円と瑕疵担保条項による8530億円の計約8兆円は、そのほとんどが損失となり、国民の負担となる。結局、不良債権は日本がすべて負担し、外資をボロ儲けさせる。このようなことが罷り通っているのである。誰がこのような売国的行為を許したのか?  新生銀行は長銀買収を斡旋した2人の外国人に30億円もの報酬を支払ったという(「選択」)。当時の金融担当相の柳沢ら政治家にいくらの「口利き料」が支払われたのかは分からない。

リップルウッドの利益は最終的に、何兆円になるのだろうか? 新生銀行が年俸1千万円(現在はもっと多いかもしれない)で社外取締役として今井敬、槇原稔、樋口広太郎の三人の財界人を並べているのは、日本経済界の反発を抑えるためと見られている。

このうち日本経団連副会長で三菱グループのドン槇原(三菱商事)は、小泉政権に顔が利くそうで、新生銀行副会長の米国人ティエリー・ポルテと関係が深く、日米租税条約の「改正」は槇原の工作と見られている。

小泉政権は為替市場でこの一年間で20数兆円ものドル買い支えを行い、入手したドルで紙切れと化しつつある米国債を買い入れ、昨年夏以降約7兆円もドル安で損失を生んでいる。米国債購入とは日本がアメリカの財政赤字の穴埋めをすることなのである。

 他方、ドル買い支えで流出した円は、米ハゲタカの日本株購入資金となっている。こうして何百兆円という日本の富が、売国政治家や売国独占資本家によってアメリカに流出しているのである。これでは、日本の国民が過労死するほど働いても、12年間も不況が続く閉塞した経済状況が続くわけであり、こうした日本の現状は、対米従属という政治的条件に規定されていることを日本の人民は思い知らなければいけない。

 「角栄なら日本をどう変えるか」という本を書いた新野哲也氏によれば、日本の政治がアメリカの思うように動かされるようになったのは、日本の官僚体制とアメリカの共同謀議による「ロッキード事件」のでっち上げで田中角栄が失脚して以後で、竹下蔵相時の「プラザ合意が対米“従属化”のプロローグだった」と言う。これ以後現在まで売国政治が続いているのである  新野氏によれば、「プラザ合意」で円高・ドル安とゼロ金利が押しつけられ、その後のバブルとその崩壊が仕組まれ、米証券・金融が一体となって日本株の空売りを浴びせ、同時に政治力で株と土地への資金を止める総量規制が行われ、日本経済の富がハゲタカに一挙に収奪されたと言う。この時、日本市場からアメリカ市場に一千兆円を超える資産が流れていったのである。(これが“マネー敗戦“と呼ばれているものである。) 小泉政権は、日本の銀行の不良債権処理として足利銀行に続いていくつかの銀行倒産(国有化)を計画しており、これらの銀行の買い手は米ハゲタカしかないと言われている。

日本売国独占資本家と結びついた小泉政権の下では、日本の富がアメリカに奪い取られるばかりである。しかも米ハゲタカは郵政民営化による郵貯と簡保の廃止によって350兆円と言われるこれら個人金融資産をもねらっているのである。日米の金利差によって日本の資金がアメリカ市場に流出し続けている。これでは日本経済は疲弊するばかりである。

米ハゲタカ金融資本とは、超大国の政治の力、買収の力で日本の富を根こそぎ奪い取る現代的政商にほかならない。

アメリカは右翼の大物児玉誉士夫をCIAのエージェントにして、日本の右翼を飼い慣らし、日本が反米・自立へと向かわないように画策した。アメリカ金融資本にこれだけ日本の富が奪い取られても自立の民族運動が高まらないのには理由があるのだ! このままでは日本経済は疲弊するばかりである。

日本の売国反動派を政治的に打倒し、対米自立する以外に日本の経済は再生も活路もないのである。