No.103(2009年12月号から)

成果あげた政府の事業仕分け!

公開の場での予算のムダ点検を国民は支持


   鳩山内閣は「コンクリートから人へ」と予算の配分を変える事を掲げている。今回公開の場で行われた仕分け作業で、447事業のうち必要性が乏しい事業など「廃止」や「予算削減」で、約7400億円の予算が削減可能と判断され、さらには公益法人や独立行政法人の基金のうち約8400億円を国庫へ返納するよう求めた。今回の事業仕分けで約1兆6000億円の無駄をなくすことになった。

 野党になった自民党は、政府の事業仕分けを「パフォーマンス」と批判しているが、そもそも莫大な国家の借金は自民党政権下で作られたものである。彼らの公共事業一辺倒の土木資本主義の経済政策の下で国家と地方の借金だけが膨らんできたのである。

 このため民主党政権が新しい政策を実行しようとすると、財政の無駄をなくすことから始めざるを得なかったのである。今回の事業仕分けが公開の場で行われたことは、自民党時代の料亭政治と対照的でよいことである。

 予算の配分には既得利益集団が形成されるのでいつまでも特定の人や勢力に税金を無駄に配分することは止めなければならない。とりわけ官僚の天下り先を作るために必要のない公益法人や独立行政法人を多く作り、そこで多額の退職金をせしめるようなことは全面禁止にすべきである。

 今回の事業仕分けは財務省の協力の下で対象事業の選定が行われた。しかし仕分け通りに予算案に反映するのかどうかは首相と行政刷新会議の判断にかかっており、ここで政治判断が加味されることになる。批判が多く出ている次世代スーパーコンピューターの開発などの科学技術関連は政治判断が下されると思われる。

 重要なことは予算の査定が国民の前で行われたことである。国民は傍聴やインターネットで見ることができた。自分達の納めた税金がどのように使われるのか、自分の目で仕分け作業を見ることで国民の民主主義への意識を高める効果が期待できる。

 朝日新聞の世論調査によれば、行政のムダ減らしを76%の人が評価している。今回の仕分けは約1兆6000億円のムダをなくしたわけであるが、当初の目標は来年度予算の概算要求から3兆円の削減をする予定だった。今回の仕分けの対象事業は政府の全事業の約15%に当たる447事業だった。残りの約85%の事業にも仕分け作業を徹底的に行ってほしいものである。

 今回の事業仕分けで課題も明確になってきた。たとえば電源立地地域対策交付金である。温暖化対策が重要となっているのに火力発電にも交付金を出し続けるのはおかしい。

 ムダがたくさんある防衛予算や米軍への思いやり予算についてもアメリカの顔色を見ることなくきちんと踏み込んで削減するべきだ。

 教育関連予算である大学の研究費についても問題がある。ハラスメントが蔓延り、研究妨害が広く行われている現状を改革しなければ研究費がムダになる。

 GXロケットが「見送り」となったのは当然で、液化石油ガスは重いのでロケットの燃料には向かないし、ガスを大気圏内外に振り撒くことにもなる。

 重要なのは予算配分の重点を決めることである。例えば高齢化社会でもあり、薬いらずで老人を元気にする園芸療法の研究などに予算を投入して、安上がりで高齢化対策になる研究を重視して予算配分を行うべきである。

 医療問題は医者の数を増やせばいいというものではない。地方にも医者を配分するシステム・制度の問題である。

 教育の人材育成の力が弱っているのは予算のせいではない。ハラスメントを野放しにしている結果であり、ハラスメント防止法の制定で大学の民主化を進めることが人材育成力を強化することになる。

 法人化で大学指導部が利権集団のようになり、有能な研究者が研究妨害に直面している例が多くある。自民政府のおこなった大学の法人化は完全な失敗である。教育の問題は金ではなく、民主化の問題の方が大きいのである。

 公共事業中心の予算配分を止めて太陽光発電や風力発電、地熱発電などに予算を投入すべきである。

 政府は残る85%の事業仕分けを厳しく行い、同時に大企業や金持ちに対する減税措置についても見直し、富の再配分の仕組みを回復しないと国民経済の疲弊を止めることはできないであろう。今のところ鳩山政権を国民が支持しているので、政府は引き続き公約実現に全力を注ぐべきである。