No.102(2009年11月号から)

鳩山の経済再建戦略の凄さを認識せよ!

室効果ガス25%削減公約の衝撃


 9月22日の国連気候変動サミットでの鳩山首相は、地球温暖化対策の焦点となっている先進国の途上国支援策を「鳩山イニシアチブ」として提案するとともに、日本の温室効果ガスの削減目標を「90年比25%減」と発表して、会議出席者の絶賛をあびた。

 これと対照的に日本の国内では産業界を中心に反対の声が上がった。これに対し鳩山首相は9月25日のG20後の記者会見で温室効果ガス25%削減の目標について反対の声が上がっているのは「一部の産業界」との認識を示し「この約束が守られなければ、人間の存在が脅かされる」として「日本の科学技術力を展開させれば決して不可能ではない」と目標達成に自信を持っていることを表明した。

 日本国内では「前自公政権が京都議定書で公約した6%削減ですら実現できず、逆に増えている、したがって25%削減などできるわけがない」「25%削減の公約を実現するとしたら産業や国民の全活動を大幅に抑制しなくてはいけない」「25%削減すれば1世帯当たりの年間負担額が36万円になる」「日本は環境ではすでに努力してきている」これらが財界・産業界関係者の鳩山公約に対する主要な反対の声である。

 しかし温室効果ガス25%削減すれば1世帯当たりの年間負担額が36万円というのは実はウソだったことが分かっている。また自公政権の6%削減の目標が実現できないから25%削減は不可能だというのは完全に間違っている。人間という動物は、目標が小さいと小手先の対応をし、大きな目標の場合は、画期的な技術開発で対応しようとする。したがって25%削減の方が6%削減よりも実現可能性があることを知らねばならない。

 日本はすでに省エネ技術・環境技術で世界をリードしている。したがって温室効果ガスを大幅削減する技術はほぼ開発しており、コスト削減だけが課題といえる。この利点を経済戦略に生かさない手はないのである。

鳩山公約には「すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意を前提として」という条件が付いている。つまり欧米諸国が低い目標にとどまれば、日本は公約の25%に拘束されないし、それでも日本への評価は残るし、環境問題での主導権を引き続き握ることができる。これとは逆に欧米諸国が高い削減目標を掲げると、日本企業は保持している高い技術を使って世界市場で大きなビジネスが期待できるということである。

世界に先立って高い削減目標を立て、環境イノベーションを巻き起こせば、日本は世界市場で左倒的強さを発揮できることは疑いない事である。とにかく25%削減目標で日本は欧米より先に走り出し、内需を拡大する必要がある。

 この鳩山の環境戦略は、エネルギー資源に乏しい日本にとって非常に重要な経済戦略なのである。欧米諸国が日本に追随して大規模な温室効果ガス削減に取り組み始めれば、日本企業は莫大な利益を見込めるであろう。元々コスト削減は日本企業の御家芸である。したがって他の先進諸国が大幅な削減に追随しようが、しまいが、日本は先に環境イノベーションを巻き起こすべきなのである。

 この鳩山の環境戦略は、自民党のような土木資本主義の経済しか頭にない公共事業中心・輸出中心の経済戦略しか知らない人達にはその重要性は理解できない事なのである。

 鳩山首相は、東京大学工学部卒業後に名門の米スタンフォード大学で博士号を取得し、帰国後大学の準教授から政治家に転身した。

 したがって環境イノベーションについては政界・官界で彼以上に詳しい人物はいないといわれている。

 つまり鳩山の温室効果ガス25%削減の目標は、理系学者として実現可能との判断に立って、国際舞台で発表したのであり、単なる人気取りで打ち上げたものではないのである。したがってこの環境戦略の中で各企業は経営戦略を見直さないと。次の産業革命に乗り遅れるであろう。トヨタのF1レースからの撤退は、ガソリンエンジン自動車から電気自動車への転換を見据えたものである。

 日本にもやっと世界の指導者を向こうに回して経済戦略を打ち出せる首相が生まれたことは大変重要なことである。こう見てくると世界の人々を驚かせた鳩山公約は、もしかしたら日本経済を再び発展させる戦略となるかもしれないのである。

 日本のバカな産業界・財界人には理系エリート出身の戦略など理解できないかも知れないが、環境部門の経営者達は鳩山公約の戦略的狙いが分かっているはずである。

 しかも重要なことは「コンクリートから人へ」との民主党政権の政策チェンジは、その経済戦略が公共事業中心の自民党の支持基盤を切り崩すことになる。つまり鳩山戦略は政治戦略としての意味も持っていることを知るべきである。

 自民党は土木資本主義の古い体質から脱皮しないと生き残ることはできないであろう。

 以上のように鳩山の温室効果ガス25%削減という環境戦略は、経済的政治的戦略としての凄みを持っているのである。

 政の鳩山・党の小沢の、この小鳩連合は、キチンとした戦略を持った“本物”と見るべきである。