No.101(2009年10月号から)

JR西日本の事故調査委員抱き込み糾弾!

政府はJR西経営陣に厳しく対応せよ


   05年のJR宝塚線(福知山線)の脱線事故調査をめぐって明らかとなったJR西日本の組織的情報漏えいと鉄道事故調査委員会報告書案修正工作、さらには宝塚線事故の類似事故である96年のJR函館線事故に関する資料を隠蔽していたことは重大である。

 この類似資料が鉄道事故調査委員会と兵庫県警、さらには神戸地検に対しても提出されていなかったことは刑事処分等に影響を与えた可能性は強いのである。

 JR西日本の経営者達は組織的に事故原因の解明を妨害した上で報告書の内容の変更まで要求していたのである。その結果報告書はATS設置の必要性を予測できたかどうかについて「必ずしも容易でなかった」と判断しており、JRの工作が反映したと見られる。

 JR西日本側と10回以上も接触し接待を受けていた事故調の当時の委員は、いずれも旧国鉄に勤務していた人物で、馴れ合いの果てに事故調査報告書に手心を加えたのである。だいたいJR西日本の事故の調査委に旧国鉄出身者を加えることに問題がある。犯人の捜査を犯人の一味を加えて進めるようなものである。

 JR西日本経営陣の関心は、調査委の報告書に「日勤教育問題」が取り上げられるか、「自動列車停止装置(ATS)」についてはどうか、といった事故要因に関わる情報であり、二人の委員は明らかに守秘義務違反である。JR西日本のこうした策動は組織的であり、会社ぐるみで刑事罰を逃れようとの意図がうかがえる。

 JR西日本は宝塚線脱線事故で107名もの乗客を死亡させていながら、事故原因を隠蔽する目的で工作をおこなっており、遺族らの「裏切られた」「報告書は信用できない」との怒りは当然である。特に類似事故に関する資料を隠蔽することで事故原因を隠そうとしたことは許されることではない。JR西日本は事故を予測できなかったことにしたかったのである。

 事故調査委の最終報告案に対しJR西日本の山崎社長(当時)が報告書が「ATSを優先的に整備すべきだった」と指摘している部分について「後出しじゃんけんだ」と削除や修正を求めていたことは悪らつと言うべきだ。

 鉄道事故の調査委員会の調査すら当事者である会社の社長に歪められるのなら、事故の再発防止などできようはずがないではないか?  前原誠司国土交通相は9月28日JR西日本の佐々木隆之社長に対し、不正に情報を引き出した経緯について徹底調査し、早急に改善策を取って報告するよう鉄道事業法に基づき命令した。しかしJR西日本に調査と対策を命令するとも犯人に捜査をゆだねる事ではないだろうか?調査は政府がやるべきであり、また宝塚線事故については、新たに事故調査委員会を作り直して再調査するべき性質の問題である。

 JR西日本は民営化して利益第一主義になり、安全を軽視していることは以前から現場のJR社員から懸念の声が出ていたのである。107人もの死者を出しながら、事故原因を隠蔽するやり方は、JR西日本に再発防止の意志が無いことを物語っている。

 自民の政権下であったが、国土交通省の事故調査委員会に、JR西日本と関係の深い人物を2人も入れること事体問題がある。調査委員会そのものが公正さを欠く人選であったというべきである。事故原因を調査した報告書が調査委とJR西日本の馴れ合いの結果作成されたものである以上、報告書は見直し以外には考えられない。

 JR西日本は民営化後、信楽事故と宝塚線の事故の重大事故を2件も発生させていることと、今回の事故調査委員会抱き込みによる馴れ合いを考え合わせると、会社の体質に根本的問題があると言わねばならない。民営化された結果利益第一の体質となり、その結果安全がないがしろにされているのである。

 JR西日本は民営化後鉄道保線業務の検査年数を先延ばしするなど利益優先・安全軽視が露骨で、社員の間で不安の声が出ていたのである。つまり重大鉄道事故がJR西日本に集中していることは偶然ではないのである。

 政府は乗客の安全を担保するためJR西日本に厳しく対応すべきである。